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黒須の夢

20150720dive

夢の中で、これは夢なのだと自覚していることがある。水の中を歩きながら、温度は感じていない。ただ水の中の歩行独特の重さは感じている。
夢の中で、何かから逃げる時のようなもどかしさ、足の重さを感じている。
夢の中だと思っていながら、水に対する恐怖感がある。溺れるはずはないのに。
いや、溺れるというよりは水そのものに対する恐怖なのかもしれない。
自由の利かない領域。何が潜んでいるか分からない怖さ。
幼いときに見たネス湖の怪物が映った写真がたまらなく怖かった。水面の人々の下を(おそらく)ゆっくりと進む巨大な黒い影。
自分が気がつかないうちに何かが忍び寄っているのではないか、という恐怖。
想像力が恐怖だ。
想像力が恐怖を作り出す。
想像を止めろ!と自分自身に言ってみるが、言っているそばから、そんな事は無理だという声も聞こえる。
そして、想像力的恐怖が実体化しているのを、何の理由も無く悟る。
振り向きたくはないが、勝手に首が後ろに曲がっていく。
少なくとも目を閉じればよいのだが、逆に目も勝手に開いていく。
そして、当然、そこには「奴」がいるのだ。
恐怖が実体化したことに対しての不可思議な安堵感(何事も起こってしまったらそれに対処するしかない訳だ)と
恐怖そのものが出現した、本当の恐怖と、この期に及んで、その二つの感情を冷静に見ている自分と、それを引いて見ている自分がいる・・・∞、
という感覚に違和感を感じつつ、「奴」と目が合った(それが目ならば、だが)。
ゆっくりと自分の顎が下がっていき、信じられないほどの大きな叫び声が上がり、それによって目が覚めた。